年頭のご挨拶/2025年
謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
はじめに
2024年前半の日本経済は、2023年後半から続くインフレや円安の影響が引き続き報じられ、特に日用品や食料品の値上げが家計に負担を与えました。また、国内では台風や豪雨などの自然災害が相次ぎ、多くの地域で復旧への取り組みが求められる年でもありました。円安による輸入価格の上昇や海外経済の減速も影響し、企業にとって厳しい経営環境が続きましたが、同時に環境や社会への貢献が求められる場面も増えてきています。
世界に目を向けると、ロシア・ウクライナ情勢やイスラエル・ガザ情勢に加え、2024年はアメリカ大統領選挙が行われ、国際社会にも大きな影響を与えました。また、気候変動が引き金となった異常気象や山火事が世界中で発生し、多くの命が失われるとともに、持続可能な社会を目指す取り組みの重要性が改めて認識されました。さらに、AI技術の進化や宇宙探査における新たな成果も話題となり、科学技術の進展が私たちの未来に与える可能性について考える一年でもありました。
このように国内外で多くの課題がある中、私たちは単にビジネスを行うだけではなく、これらの課題に対して何ができるのかを真摯に考え、社会や世界に貢献できる企業を目指してまいります。
事業概況
EMOORグループの睡眠環境を担当するエムール国内事業においては、季節変動や円安の影響がありながらも堅実な成長が出来ました。2024年7月にはANAモールに出店いたしました。昨年に引き続き、自社サイト、各ショッピングモールともバランスよく成長できました。若手社員の成長や中堅社員の変化対応力も頼もしくなり、総合的な運営力が向上したと思います。
ブランド元年
そして、2024年はブランド元年とも言えます。睡眠・休息の専門性を備えたEMOORブランドをより高めていくための活動に注力した一年でもありました。2024年6月には立川市に続き2店舗目となる環境具の体験型ショールームを港区南青山にオープンしました。「寝る・座る」に特化した予約制ショールームです。販売は一切なく、「寝る・座る」を体験し、心地よさを感じていただくことに集中していただける空間です。
体験型ショールームの累計来場者数は1,500人を突破(2024年12月23日現在)いたしました。この1,500人の方は単なる来場者ではありません。EMOORブランドがお客様に対して貢献したいことをお伝え出来たお客様です。エムール国内事業の主軸であるECの効率的なビジネスとは真逆な取り組みです。しかし、私たちが目指すことを実現するためには、単なる効率の追求だけではなく、体験の質が必要だったのです。
さらに、2024年は東京ヴェルディ選手をはじめとしたプロアスリートの皆様に30名以上お越しいただきました。アスリートの皆様と対話することで、新たな気づきが得られ、製品開発にも繋がりました。
ブランドを伝えるという活動では、南青山3丁目交差点近くにブランド広告を設置しました。「寝る・座る」を端的にお伝えし、皆様にEMOORとは?に対するイメージを想起していただくことを狙いにしました。
そして、2024年5月にはグローバルブランドサイトをオープンさせました。なぜ「寝る・座る・しまう」なのか?どのようなお客様のどんなことに役立つブランドなのか、私たちが掲げるブランド像や、ものづくりに対する想いを発信していくサイトです。海外のお客様にもご覧いただけるようにしました。
海外事業
エムール海外事業においては、引き続き国内とは頻度や内容が異なる課題を抱えながらも、長年培った対応力により成長を続けています。アメリカの事業開始から10年以上たち、目に見えない強みが出てきたと感じています。アメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、イギリス、オーストラリアのお客様にも日本と同じようにエムールブランドを感じていただけるようにさらなるレベル向上を図っていきます。
睡眠関連事業
スリープテクネ社がリードする睡眠関連事業については、公立学校共済組合東京支部様向けに、睡眠セルフマネジメントアプリを展開させていただきました。通信教育のユーキャンさんと共同開発した『睡眠セルフマネジメント講座』も継続し、多くの方に受講いただいています。また、オウンドメディア「日本の寝室と寝具」を通して、睡眠生活習慣や睡眠環境の大切さを今後も伝えていきたいと考えています。事業を行う上で大事なのは、自分たちが生活者の何に貢献するかを意識する事です。睡眠関連事業はショールームと同様に、その原点を思い出してくれます。事業としての経済的成立と事業としての本質を追求していきます。
研究活動
エムール睡眠・生活研究所としての研究活動も行っています。日本睡眠学会、日本睡眠環境学会での発表活動を行いました。今年は、睡眠環境学会の機関紙「睡眠と環境」に原著論文として掲載され研究実績を積み重ねることも出来ました。
組織機能の質的向上
また、バリューチェーン(商品開発、品質管理、発注、在庫管理、販売管理、制作関連、カスタマーサポート、システム開発、配送、経理など)を担うそれぞれの社員のレベルは向上しています。それぞれの仕事を行うだけではなく横断的な改善への取り組み精度が高まってきていると感じます。成熟化と効率化の両輪を志しながら、ブランドを体現するバリューチェーンの質的向上は来年以降の重要なテーマでもあります。
貢献できる企業であり続けるために
現在の経済環境は、一言で言うと高レベル化かつグローバル化しています。つまり、難しくなっていると感じます。何かの問題を解決するのには、その問題と同じレベルでは解決することはありません。一つ高次なレベルからの知恵でしか解決しないのです。また、何かの問題を解決するのに直接的な1つの方策で解決することもあまりありません。複数または間接的な要素も含めないと解決しないのです。また、量と質の両立も大事です。ここに時間軸(はやさ)も入ってくると思います。ここまでが内的な要因となります。さらに、外的な要因(政治経済、社会、環境、紛争など)が加わってビジネスとしての結果が生まれます。このような前提条件の元、2025年もビジネスを行っていくことになるでしょう。
私たちは、「眠りで世界の人を元気にする」というビジョンを志し、日本だけではなく世界を見渡し、世界の人に必要なもので私たちに貢献できるものは何かを常に考え、実行していきます。2025年も引き続きよろしくお願いいたします。
2025年1月6日
株式会社エムール
株式会社スリープテクネ
代表取締役
高橋 幸司